294ベルエア練馬
物件概要
- 用途
- 事務所・共同住宅
- 基本設計・監理
- 環境プランナー
- 基本設計・実施設計・監理
- 大場英明建築設計事務所
- 構造
- RC造
- 場所
- 練馬区
- 規模
- 地上3階
物件概要
住宅密集地において公園はもちろん、路地や建物の隙間は住まいへ光や風を届ける貴重な「都市の余白」である。その余白に建築の機能を接続させ、光や風を導き、視線の広がりをもって街と連続させる関係を試みた。
住戸の間取りは全て1R となっているが、居室7畳程度ではベッドが生活の中心に成りかねない。 そこで出窓のように2面開放されたリビングベンチの設置を提案。植栽が茂る公園側に配置し、木々を感じながら過ごせる居場所を設けた。 リビングベンチの腰壁は室内側に向かって広げることで、空間が分断されないように意識した。腰壁が直角でないため、サッシがシンプルに見えるよう納めるには非常に苦労したが、部分模型をもとにして緻密な打合せを何度も重ね検証したことで、外部との繋がりを生み出すことができた。公園の緑に囲まれ、慌ただしい毎日のほんのひと時でも一息つける場所であって欲しい。
事務所の打合せ室は街の間のパブリックな場所として、道の延長となるような大きな開口で街と接続している。公園の自然に対峙したコンクリートの量塊は、浮遊するように1階の無柱空間の上に乗っている。住戸間の2層の間仕切壁を壁梁とすることで、1階は梁型のない無柱空間となっている。
共用廊下、階段室にも梁が出ないようスラブのみで応力伝達させ、敷地先の抜けを感じられる広々とした空間とした。また、手摺は躯体と枠に隙間を設けてワイヤーメッシュにし、階段には目透かしを設けて風と光の通りを妨げないようにしている。閉塞感の軽減された共用廊下には、隣地からの風や光が抜け、建物内に息吹を吹き込んでくれる。
常に溢れる情報とデジタル画面に向き合わなければならない現代の都市生活だが、視線を遠くにやり街の気配に耳を傾け、光や風の通りを感じられる、そんな温もりのある日常を想起した。
細かなこだわりにとことん付き合ってくれた富樫所長、齋藤(藍)係員を始め、多岐にわたる業者様のご協力のもと無事竣工することができ感謝を申し上げたい。
(大場英明建築設計事務所/大場英明氏 談)