291神宮前マンション
物件概要
- 用途
- 共同住宅
- 設計・監理
- awn|工藤徹・江島史華・平山龍太郎・友杉明香(AWN)
- 構造
- RC造
- 場所
- 渋谷区
- 規模
- 地下2階・地上3階・塔屋1階
物件概要
ヴォイドの幅は2間(約3.6m)。路地のようなスケールとした。ただの住宅ではなく、通りと関係が作れるような「仕組み」を作った。「仕組み」をきっかけに、このマンションが活動と交流の場になることを期待している。
向かい合う住戸の壁面はガラス張りとし、透明度に濃淡の差を設けた。視線が抜ける部分とそうでない部分を調整することで必要なプライバシーを保ちつつ、通路には生活の雰囲気が流れ込む。ガラス面には木の方立を使用して、無機質な素材に温かみのあるアクセントを加えた。道はゆるやかなスロープになっており、各住戸の玄関との間に高低差が生じる。そのため、通りを歩いている人と住んでいる人との目線は同じレベルにはない。そのちょっとした距離感のずれが、居心地の良さにつながっている。
不整形な土地にまっすぐな道を通したことで、形にも大きさにもバリエーション豊かな住戸が生まれた。サイズは、20㎡から70㎡のものまでさまざま。スタジオとして使用できるほどの天井高をもつ部屋もあれば、ファミリータイプの部屋もあり、将来的には、職住一体の暮らしを実現するだけのポテンシャルをもたせている。
擁壁側の入口は人を迎え入れるアーチとし、その周りにメッシュを張ってグリーンで覆うことで、街に対して優しい印象となるように意図した。通路の両端にあるルーバー門扉は、江戸の町にある木戸をイメージ。視界の抜けが、住人の毎日の暮らしに活気と安心感をもたらす。
外壁には、かつてあった建物と同様のベージュに近い色を選んだ。「神宮前マンション」の名前もフォントも以前のままに。建て主様も、引き続き2世帯4世代で住まわれる。 建て主様の住戸においては、リビングと一体化できる複雑な形状の土間が結節点となって、大家族の営みをつなぐ。建物全体の特性が住戸のなかにも再現されていることに気づいたとき、「私たちは改めて環境を作っているのだ」という思いを強くした。
(awn/工藤徹氏・江島史華氏 談)