株式会社辰

290WHARF六本木

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物件概要

用途
飲食店・物販・事務所
設計・監理
SALHAUS・moires
構造
RC造
場所
港区
規模
地下1階・地上5階
SHIN CLUB掲載あり
雑誌掲載あり

物件概要

計画地は雑居ビルや飲み屋など、昔ながらの六本木の雰囲気を保つ建物が密集する西側の街と、真新しいタワーマンションをはじめ、21世紀に開発された東側の新しい街に挟まれた、新旧の境界面とでも言える場所にある。2つの世界に面する建物をどのように表現し、かつ都市的な意味を持たせるかが、本計画のテーマであった。


初めて敷地を訪れたときに直感的に湧いてきたのが、2つの世界を繋ぐというイメージ。性格の異なるエリアの間を人々が自由に通り抜けることが出来、各部屋へのアクセスを向上させることは、街にとってもこの建築にとっても非常に重要だと思った。この通り抜けは、建築的な面白さだけでなく、建物の商業的な価値の向上にも直結する。事業主にプレゼンテーションしたところ、この思想に大変共感していただき、それがプロジェクトの出発点となった。 設計を進めるなかで、この通り抜けは建築の骨格としてどんどん成長し、建物の中央を大きく削り出したようなヴォイド空間となった。階段は建物の屋根面へと繋がっていき、まるで都市のなかで山登りをしているような体験ができる。足下にある雑居ビルの立ち並ぶ昭和の六本木の街並みからスタートし、上階に登るにつれ、首都高速や六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、麻布台ヒルズなどの超高層ビルへと視線が抜けていく。ダイナミックな都市の変化を内側から感じられる建築となった。


建物のボリュームは上階に行くにつれセットバックしているため、部屋の面積も段々と小さくなっていく。建物の用途は、申請上は事務所と飲食・物販店舗だが、利用する人が空間を感じて、自由に使ってくれれば幸いである。最上階の小さな部屋は、住宅としても使えるような親密な空間になっている。各室を繋ぐ共用部は、この建物で働く人たちを繋げる重要なパブリックスペースとなっている。一般的な都心のテナントビルは、縦積みになったフロアをエレベーターと避難階段で繋いでいるだけで、共用部は非常に貧しいものが多い。そのような建築では、入居者同士のコミュニケーションはほとんど発生しないが、この建築の共用部は、単なる動線ではなく、このビルを訪れる人々や、働く人々が互いに交流し、協働できるような場所として設計した。既に入居したある会社は、最上階の2部屋をまとめて借りて、間の屋外空間を含めたワークスペースとして使い始めている。利用者が空間に触発されて主体的に使い方を発見してくれたことがとても嬉しい。 共用部のヴォイドスペースは同時に、厳しい斜線制限のなかで最大限の建物ボリュームを確保するための戦略でもある。間口の広い建物の中央部を削り取ることは、天空率を上げることに繋がる。建物の両端の壁を斜めにカットしていることも、天空率を上げると同時に、室内からの多様な方向への眺望を得ることにも貢献している。このように、建築的な魅力と、商業的な付加価値の向上を両立させることが、私たちが都心の建物で常に意識して取り組んでいることである。


六本木ではこれからも大規模な再開発が続くが、昔からこの街が持っているパワーも健在である。新旧の六本木の街の魅力を繋ぐ「中くらいの建築」として「WHARF六本木」がこの街を象徴する建築として存在感を発揮していくことを願っている。


(SALHAUS/安原幹氏 談)

 

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