株式会社辰

277-1FIT Toranomon

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物件概要

用途
共同住宅・店舗
設計・監理
中央日本土地建物株式会社
竣工年月
2022年12月
構造
RC造
場所
港区
規模
地下1階・地上5階
SHIN CLUB掲載あり

物件概要

住宅とオフィスが混在する「虎ノ門」で、この土地の特性を活かした建物になるよう意識し、デザインや間取りなどの計画をおこなった。


大通りから1本奥に入ったところに位置する今回の計画地。駅からも近く、周囲には飲食店が軒を連ねるその場所で、住宅にもオフィスにも対応できる建物を考えたとき、よくあるマンションのタイル張り・跳ね出しバルコニーというのはあまり想像ができなかった。土地柄、都心ならではの周囲環境に配慮し、プライバシーを確保できる建物でなければならないと考えたが、無機質で無骨な建物では街に対し主張が強すぎる。そこで、柔らかさとスタイリッシュさを「コンクリートに木の優しさを転写することで表現する」という発想で、外壁型枠にOSB合板*を採用。脱型の際に残った木片全ては除去せず、あえて残すことで木とコンクリートの調和を表現した。また、OSB合板はそのまま型枠として使用できるので、コストも抑制することができた。サッシは木製サッシを採用し、素材の温かさと柔らかさを表現した。


間取りは、SOHOのニーズもあると考え、入ってすぐに土間、正面にLDK、1番奥に水回りや寝室などのプライベートな空間を配置。リビングではオフィスとしての使用や来客との打ち合わせなどに活用でき、間仕切り扉を隔てて寝室や浴室などを設けることで、「仕事」と「プライベート」の切り替えができるように計画した。虎ノ門は、古くから商いを営む方が多い一方、近年の働き方の変化から、自宅とオフィスを兼ねるSOHOの需要もある。その両方のニーズに適合するこの土地ならではの間取りと言える。 また、窓外が閉鎖的な景色となってしまわぬよう、斜め壁に窓を設置し、より光が入り、空が見える開放的な空間となるよう工夫した。


「FIT Toranomon」は、マンションに囲まれており都心の狭間のような場所に立地する建物であること、また、入居者様の住まい方や働き方にフィットする建物となるよう「FIT Toranomon」と命名した。


都市開発プロジェクトの一部としての建築ではあるが、街の魅力の1つとして、長くこれからの新しい虎ノ門に根付いていく建物になることを願う。




*「Oriented Strand Bord:オリエンテッドストランド ボード」の略。破片状にした木材を重ねて作られた合板。


(中央日本土地建物株式会社/西田達生氏・伊藤聖貴氏 談)