252-3青山MYビル
物件概要
- 用途
- 店舗・事務所
- 設計
- 溝口健二/建築設計計画
- 竣工年月
- 2020年11月
- 構造
- S造
- 場所
- 港区
- 規模
- 地上9階
物件概要
国道246号線沿い、外苑前交差点近くにテナントビルを建てる計画である。 敷地はM様、Y様という二人の建て主が持つ土地。前面道路に接するM様の持ち分とその奥の二項道路に接するY様の持つ土地の比率は約1:2である。そのままそれぞれが建物を建替えるとすると、Mさんは塔状建物を避けるために6階に、Yさんは二項道路のためせいぜい2階建てしか建てられない。 そこで企画会社が2つの土地を一つの敷地にまとめるプランを提案した。 国道246号線を前面道路として容積率も、より大きくなり、結果的に大きな9階建てが可能となる計画がスタートした。
1-2階は物販店舗、3-8階は事務所、9階は飲食店舗とし、フロア別に所有権を設けた。1-5階はM様所有、6-9階はY様、そして屋上には広告塔を設け、こちらはM様が所有することになった。総合的な判断による。
基本的にオフィスビルは基準階を設けて内部は各階同じ仕様にするが、今回ファサードで、建て主二人の持ち分をイメージに表し、3層で区分けすることにした。すなわち1-2階は天井高も高くして歩行者をいざなうRの曲面を設え、3-5階はオープンに、6-8階は閉じた形にし、レストランとなる9階はまたオープンな形にして所有分で6階を境にバルコニーの顔に変化を付けた。 イタリア・ルネッサンス期のパラッツォでドーリス、イオニア、コリントといった柱の様式で建物のファサードを分割したように表情を作る。道行く人には1-2階しか見えないが、遠目には建物全体の構成を感じてもらえる。 構造的には建物の高さと幅の比率が4を超える塔状建物であるが、それも2つの敷地を1つにして敷地が大きくなったことにより可能となった。
お二人にとってのデメリットが解消され、後はこの「コロナ禍」が一日も早く収まり、街の賑わいが戻るのを待つばかりである。
(溝口健二氏 談)