245-2TREES (鵜の木集合住宅)
物件概要
- 用途
- 共同住宅(全11戸)
- 設計
- 伊藤潤一+伊藤潤一建築都市設計事務所
- 構造設計
- 多田脩二構造設計事務所
- 竣工年月
- 2020年1月
- 構造
- RC造
- 場所
- 大田区
- 規模
- 地上3階
物件概要
外観の矢板型枠は、時間が経っても木々に負けない力強さと荒々しさが必要だと感じたからである。 時が経っても、古さを感じないこと。言い換えれば、「不易なもの/こと」を常に建築では考えている。 建築が時の経過とともに老朽化することは避けられない。ただ、本質的な美しさをもつものは、時代が変わっても美しい。それは変化してはいけないということではなく、変化することで味わいや深みを帯びていくことでもあると思うし、建築における「不易なもの」とは、こうした意味である。 同時に「不易なこと」とは、時が経っても変化しない人や自然の有り様とも言える。人が自然を見たり感じたりして、心が安らいだり豊かさを感じたりすることは、時代を超越した人が本質的にもつ性質である。だからこそ、TREESにおける1本1本の木々がもつ意味は、厄介さと引き換えにするだけの意味をもつ存在だ。
室内プランに目を転じると、土間空間をもつ間仕切りの開閉によって使い方を変化させられるプランが特徴である。回遊型、ワンルーム型、メゾネット型など、ファミリーだけでなく多様なライフスタイルを受け入れることができ、実際の入居者も、ファミリーだけでなく、メディア関係者、外国人、アーティストなど多彩な人々が生活を楽しんでいる。
街に目を向けると、TREESの木々は居住者のものであり、同時に地域の人々のものでもある。子供たちが学校の登下校にTREESの木々の色づきや花々を愛でながら、季節の変化を感じてくれること。建物の変化を見守り、語ってくれることは、TREESが地域住民や子ども達の友達のような特別な存在として、心の中に残ってくれるものになるだろうと期待する。
人々の心を動かせるような建築を作りたい。時代の潮流に流されない「不易なもの/こと」を目指す姿勢を持ち続けたいといつも思っている。
(伊藤潤一氏 談)