236-2竹本容器株式会社 TOGETHER LAB
物件概要
- 用途
- 事務所+作業所
- 設計・監理
- 秋田忠俊/秋田建築設計室+秋田亮平/秋田亮平建築設計事務所+村田加奈子
- 構造設計
- 鈴木芳典/TECTONICA+金田充弘/東京藝術大学+大谷俊夫・廣瀬貴之/秋桜構造計画
- 設備設計
- 佐治行三・新井英昭・勅使川原良一/テーテンス事務所
- 竣工年月
- 2019年9月
- 構造
- RC造
- 場所
- 台東区
- 規模
- 地上6階
物件概要
独自のビジネスモデルで事業展開を進めるスタンダードボトルメーカーのオフィス計画である。 台東区は都心の商業地域とは言え、住宅やマンション、商業ビルの他、寺社等伝統的な建物が混在する地域で、近隣住宅との視線・セキュリティ、建物が持つ圧迫感の軽減など、周辺環境への配慮が欠かせない。その上で建物用途の性格にマッチした建築の在り方を考えた。 開発拠点となるラボ付きビルということで、素材感がありつつも建物自体主張しすぎ無い佇まいがイメージされた。 また、建て主が容器メーカーということで、金型を作ってその中に中身を流してカタチを作るという工程が似ているRC 打放しがふさわしいと考えた。
西側に広がる寺社と庫裡に対しては極力開口部を設けないようにし、各階に帯状にふかしを設けることで面を分割し、表情を出している。無機質な打ち放しのコンクリート面は圧迫感が強すぎると考え、塗装でうっすらと茶色を入れることで、トーンを調整した。
一方、東側正面のファサードは建築基準法上必要な付室の排煙窓があるため、各開口からの離隔などの規制があったが、50cm以上の袖壁と庇からなる格子により解決、建物の外観も決定づけることになった。 北側は向かい側がマンションのバルコニーでやはり開口を閉じざるを得なかったが、敷地形状に合わせて、矩形から斜めに張り出した部分の両サイドの開口部から光と景色を取り込んでいる。 斜めに張り出した壁面は、目地棒をならべた型枠を用いることで表情を生み出している。
各階の構成は、1 階が作業所、2 階はショールームとミーティングルームで、カウンターを設置してお客様に容器の機能を確認いただけるようにしている。3 階が実験室とミーティングルームで、4,5 階は通常のオフィス、6 階は多目的ルームとなっている。6 階はオフィスのリビングのようなイメージとし、2階のギャラリーのようなショールームとは、フローリングの種類を変えている。社員が昼休みに食事や談笑に使用できるスペースとしても活用される。バルコニーも設けているが、隣接する施設が見えないように、花壇を設けることで乗り出せないようにしている。
商業ビルは、流行を反映して類型的なデザインになりがちだが、普遍性のあるものにするために、周辺環境をよく読みこみ、機能を満たしたしっかりとしたものを作るべきだと考えている。
(秋田忠俊氏・秋田亮平氏談)