159-2TN-house
物件概要
- 用途
- 専用住宅
- 設計
- 安藤毅/エアスケープ建築設計事務所
- 構造設計
- T&A アソシエイツ
- 竣工年月
- 2013年2月
- 構造
- RC造
- 場所
- 杉並区
- 規模
- 地上3階
物件概要
敷地は、北側が第1 種低層住居専用地域、南側が第1 種中高層住居専用地域、と同じ建物内で用途が異なっているが、低い家並みが広がる北側にテラスや開口部、トップライトを設けることで、建物全体には閉じた外観を維持しつつ、その条件を有効に活用している。
躯体は、貫板型枠のコンクリート打ち放しで仕上げている。特に仮設の材料でサネのない杉板をそのまま利用することで、板と板の隙間のノロや陰影が、コンクリートの量感、素材感をさらに引き出している。 この住宅は絵画を趣味とされる母上と娘さん夫婦の2 世帯住宅である。1階が母上のスペース、2、3階が娘さん夫婦のスペースである。
当初、母上は「大型の絵をしまう場所を」というご要望をお持ちだったが、作品には力があり、むしろそれらを生かすギャラリーを設けることで、さらに建築の中にシーンが生まれてくると思われた。 玄関を入ると、少し低くなった床の右側の壁に、母上の作品が飾られたギャラリースペースが続く。吹き抜けの天井からさすトップライトの光が、自然の明るさで作品を演出する。
左手に入ると、母上の住まいのスペースである。対角線に切り取った三角形のプランニングは、庭のデッキのラインと室内のテーブルのラインをそろえることで一体感が生まれ、広がりと明るさを生み出している。奥にコンパクトに収められたキッチンのカウンターはコンクリートで、埋め込み型の蛍光管の照明など、生活感を出来るだけ表に出さないようにしている。絵画同様、インテリアはとても個性的なものが多く、それに対して建築はシンプルで力強く、創作意欲が湧くようなラフなものとし、それらを生かしたスペースとなるよう心がけた。
2、3階への階段室は、単なるバックヤードとするのではなく、スペースを大きく取り、トップライト、2方向のハイサイドライトから光を入れている。1 日の光の変化を楽しめる空間となっている。リビングへの入口は、空調などの温熱関係も考慮に入れ、重めの扉で新たな空間へと切り替える。リビングは三角形の対角線に大きな開口部をつくり、採光を確保するとともに、右手奥のキッチン、さらに階段室への通路で、室内に回遊性を持たせている。
キッチンはドイツの高級メーカーのものであるが、設備の色を合わせながら、素材を変えた家具を製作するなど、こまかくデザインを工夫している。 3階の寝室は、やはり斜め使いのプランである。黒い照明、袋状の白いブラインドなど、やはりこちらもアーティスティックな空間となっている。