株式会社辰

293神宮前アバックビル

物件概要

用途
店舗
設計・監理
内海彩・長谷川龍友建築設計事務所/内海彩
構造
RC造
場所
渋谷区
規模
地上3階
SHIN CLUB掲載あり

物件概要

「神宮前アバックビル」は、キャットストリートから横にそれる細い小径の先に建っている。建物が堂々と建っているのではなく、通りから目線を向けるとちらりと見える位置であることが、敷地の非常に重要な点だ。 ひっそりと存在する建物の発見は、まるで秘密基地を見つけたような心地になるだろう。秘密の場所の雰囲気に惹かれた人が、ワクワクと小径を進むと、階段を好奇心のままに上っていき、2階、3階と、どんどんといろいろなお店を覗いてみたくなるつくりにできたらと考えた。


建物自体のつくりでも、「人の心をときめかせることができたなら」 そう思い考えたのが、「積み重なったショーケースの間に入りこんでいく」ようなイメージだ。 木の外壁材は2階が横張り、1階は縦張りとし、「箱が少しずれながら積み重なったビジュアル」を表現した。照明器具もデザイン重視で選び、昼間は屋上のペントハウスからの光も射し込むように設計。階段を上ってくると、ガラス越しにお店の雰囲気を感じられるようにすることで、閉塞感がない階段室をつくった。 2階と3階のサッシはあみだ状だが、単なる窓ではなく、少し装飾的なギャラリーの壁面や飾り棚のイメージで提案。通りを歩いてくると、大きく跳ねだした2階の壁が目に入る。 そこに内照式のサインが着いており、暗くなると木の外壁も照らされ、それ自体が建物の看板のような役目をしている。その明かりが、通りに対して存在感を放つことだろう。


テナント区画は、道路に面してテラスを持つ1階、道路に向かって跳ね出す細長い筒のような空間の2階、横に広い窓がある3階、渋谷のビル群がよく見える屋上と、それぞれに特徴がある。各階の特徴をうまく活かすことで、それぞれが個性的かつ魅力的にデザインされた。表参道界隈の街歩きの楽しさを創り出す、一端を担う場となることを願っている。


(内海彩・長谷川龍友建築設計/内海彩氏 談)