物件概要

閉鎖的で密集した都市環境のなかに、内部空間の開放性を追求。敷地境界まで迫った隣の外壁、その隣にある中庭と緑、麻布台ヒルズを中心としたビル群の眺望。これらの都市環境を積極的に計画に取り入れる工夫をした。地下にドライエリアを設け、わずかな建物間の隙間から自然光を取り込めるよう計画した。太陽の光が地下にあるプールへも差し込む。水面で揺らぐ木漏れ日は、空間全体により一層の豊かさをもたらした。

エントランスの扉を開けるとドライエリアから顔を覗かせた植物が訪れる人路優しく迎え入れ、キッチンからは隣の中庭を借景として楽しむことができる。各階のエレベーターホールには、隣の外壁に反射した自然光が、全体にアンビエントな柔らかな光をもたらす。バルコニーの植物は、近隣の建物からのプライバシーを確保しつつ外部に対しての圧迫感を軽減した。屋上テラスをつくり東京のビル群の眺望を可能にした。この建物は密集した都市環境でありながらも、周囲の外部環境を積極的に利用することにより開放感で豊かな空間を実現した。

（須藤朋之氏　談）