284-1桜楼居
物件概要
- 用途
- 一戸建て住宅
- 設計・監理
- 下吹越武人/A.A.E.
- 構造設計
- 佐藤淳構造設計事務所
- 木造設計
- シェルター
- 構造
- RC造+木造 一部S造
- 場所
- 渋谷区
- 規模
- 地上2階
SHIN CLUB掲載あり表彰実績あり
物件概要
桜の移植が可能と判断したのちに浮かんだ抽象的なイメージ「柔らかい素材で流れるような屋根が浮いている下には、のびのびと寛げる空間が広がる場所」をスタディしていくため、まず取り掛かったのは屋根を支えるにはどうしたらよいか、から始まった。
計画地は想像していたよりも広く、短辺方向でも5mは超えていたため、単純梁を用いるとかなりの存在感が生まれてしまううえ、放射状に広がる屋根をどのように支えるかという点で頭を悩ませた。構造の佐藤さんと幾度も検討を重ね、「3ヒンジフレーム」という部材を組み合わせながら門型のフレームを造り、放射状に並べていくという案にたどり着いた。 次に、屋根だけの構成で開放的な空間をどのようにして地震力に抵抗していくかを検討。通常は耐力壁を造るが、あくまで壁を造らず計画できないか佐藤さんと検討した結果、ラーメン構造で柱を造り、柱と地面との接地面で地震力に抵抗することに。これで構造形式が成立し、柱と屋根だけの建築が実現した。
今回の計画は屋根の形状が楕円の放射状であったため、一本一本垂木の長さと角度が異なることから、3Dモデリングを駆使しなければ建築できない現場であった。CADで数字は算出されるが、最終的には現場で人の目で間違いがないかどうかを確認し、且つイレギュラーが発生した際の納めや誤差へのリカバリーなど、今までの施工経験がないとイメージは非常に困難だと痛感した。PC上の世界と現場の生々しい格闘の世界を、その経験と技術で納めてくれた池山所長には大変ご苦労をお掛けしてしまった。 最終的には本当に精度の高い素晴らしい建築が出来上がり、池山所長、堀内主任、岸崎係員には大変感謝している。 私としても挑戦であり、多くのことを学んだ現場であった。
(A.A.E./下吹越武人氏 談)