物件概要

たくさんのテナントビルが建ち並ぶ人気エリア、東京都目黒区青葉台に建つテナントビルである。私たちがテナントビルの設計をおこなうときには、そのエリアが持つ街の特徴や周辺環境を注意深く観察し、クライアントの予算のなかで何を優先するべきかを丁寧に検討し設計をおこなっていく。 AK-４ BLDG.では、まわりのテナントビルとの差別化を図るため、豪華な建物デザインではなく、テナントが使いやすい内部空間を作るための構造デザインを最優先して計画をおこなった。

何度も構造家と検討を重ね、入居するテナントが内装デザインをしやすいように内部空間から柱を消し、壁と床で構成されたようなシンプルな内部空間とした。 特殊な構造デザインのため、一般的なテナントビルと比べると全体工事費のなかで構造躯体の占める割合は大きくなるが、外装仕上げを含めた建材のグレードや設備スペックのグレードを丁寧に整理して、クライアントの予算のなかで計画を実現した。

最上階はレンタルギャラリーになっており、住宅の設計と同じように外と遮断してプライバシーを確保しつつも自然の光を取り入れる、という相反する機能を丁寧にデザインすることで開放感のあるプライベート空間とした。

テラスには建築基準法の床面積は発生しないため、一般的なテナントビルでは床面積と比べると優先順位が低い機能だが、自然光をたくさん取り入れたプライベートテラスがあることで写真スタジオとしての利用も多く、人気があるレンタルギャラリーとなっている。

テナントの入れ替わりの多いエリアにも関わらず、AK-4 BLDG.はテナントの入れ替わりがない。 いろいろと大変な時代ではあるが、時代に負けることなく、この先もこの建築がテナントや地域から「求められる建築」であることを願う。

（GKAD勝岳史建築設計事務所／坂井泰之氏　談）