264-2エスセナーリオ市ヶ谷
物件概要
- 用途
- 共同住宅
- 設計
- 木下道郎/ワークショップ
- 企画
- ㈱モデリア
- 事業主
- 秀光建設㈱
- 竣工年月
- 2021年11月
- 構造
- RC造
- 場所
- 新宿区
- 規模
- 地下1階・地上5階
物件概要
今回、斜線規制が厳しい条件のなか、建物内で最大限の空間を確保できるよう複雑な立体構造で計画をおこなったため、それにより生まれた空間のデメリットをいかに活かせるかがポイントとなった。また駅からも近く、「市ヶ谷」というエレガントな都心生活をイメージできる魅力的な立地の特徴を活かせるよう、住まいの中に「遊び心と色気」を盛り込んだ。
斜線規制の関係で生まれた斜め壁に対しては、壁面を白にし、そこにフットライトを設置することでライトの反射で空間の圧迫感を緩和させた。また、斜め天井は吹抜けにし、ライトを上部へ反射させることで天井の高さをさらに演出。最上階の貸室には階段途中に1部屋設け、作業部屋や書斎など特別な空間として使っていただけるように意図している。
エレベーターシャフトの都合上、一部床レベルが上がってしまうところがあったが、敢えてそこに畳を設置し小上がりのような空間に。通路計画のために出っ張ってしまった空間も閉鎖せず、住空間として活かした。
地階緩和のため、住まいにしにくい地下空間は1階とつなぎメゾネットタイプにした。エントランス脇にガラスブロックを設置することで、自然光を階段室に取り込み地下空間の閉塞感・暗晦感を緩和。「地下」を感じさせないよう工夫している。
バルコニーから絶景の望める最上階は、湯船につかりながらその景色を楽しんでもらえるよう浴室の窓の位置を低く設置。また浴槽脇に同じ高さの洗面台を設置しているが、通常利用はもちろんのこと、そこでシャンパンなど冷やしながら入浴タイムを楽しむのも良いだろう。
「エスセナーリオ市ヶ谷」を見たとある建築家はこう言ってくれた。 「『建築』は設計者に似る。きっちり建て主の利益を追求しながら、しっかり暮らす人のための遊び心と色気を織り込んであって楽しい出会い」
合理的な設計のなかに、そこに住む人のために「遊び心と色気」を忘れない。その想いを体現している「エスセナーリオ 市ヶ谷」はこれからも永く、この地で愛され続ける建物になるだろう。
(ワークショップ/木下道郎氏 談)