244-02ラナイグレース北青山
物件概要
- 用途
- 共同住宅(全13戸)
- 設計
- 鬼木 設計計画2020・01
- 総合企画
- ㈱ランドビジネス
- 構造
- RC造 壁式
- 竣工年月
- 2020年1月
- 場所
- 港区
- 規模
- 地上3階 地下1階
物件概要
建物の仕上げのベースは Charm Blanc 。ベースとして、白いタイル、白い大理石、白しっくい、白の EP 塗装等がそれぞれテクスチュアを活かしてデザインされている。そして Charm Blanc の中に一つ一つ厳選された「手の跡が感じられる仕上げ」を施している。 時代に流されることの無い建物にするためには、一つ一つの材料を慎重に選ぶ必要がある。しかし現在のグローバリズムの中で、日本はもちろんヨーロッパでも味わいのある良い材料が無くなってきていて、手間のかかる「手の跡が感じられる仕上げ材料」も、採算が合わないため少なくなっている。
外壁の白いモザイクタイルは、数度の試し焼きを経て、風合いのあるタイルを使用し、面として一体に見えるように目地は3mmにしている。 その白い外壁に、木製の窓、ブルーに塗られたスチールの手すり、アーリーモダンなガラス庇の吊り金物でアクセントを付けている。 外構、ポーチの床は白い外壁、植栽の緑が映えるようにイタリア製アンティーク・せっ器質風のタイルを「千鳥貼り」にしている。 ポーチ、エントランスは、白い大理石を採石場である 「Carrara の丁場」のような石の塊を組み合わせた CharmBlanc の空間に、イタリア・オペラ劇場のレリーフのレプリカ、そしてデンマーク・ロイヤルコペンハーゲンの「ブルーフィッシュ」を設えている。 エントランスホールからは、中庭の白い大理石の泉から水が流れ落ちる様子が見える。ヨーロッパのプチホテルのような木製の階段で上がった2、3階の中廊下は、共同住宅に必要な電気、ガス、水道のメーターを極力目立たなくすることにより、ホテルの廊下のように設えている。各住戸の扉、サインは、日本の伝統色である「あさぎ色」に塗布している。
SOHO として使用される室内はシンプルな内装にしている。 壁、天井はメンテナンスを考えて EP 塗装、床は土足対応のフローリング風タイル貼り。 洗面所、シャワールーム、キッチン廻りは、海外に数ヶ月前から特注していたモザイクタイルを「市松張り」で使用している。 同様にタイルを市松貼りしたバルコニーは、空調室外機、湯沸かし器等を共用の設備バルコニーにまとめて設置し、個々のバルコニーを広く快適に使用できるようにした。 地下1階の SOHO はドライエリアを広く取ることにより、地下とは思えないような明るさと広がりが確保されていて、前面道路から直接入ることも可能な階段が設置されている。
㈱ランドビジネス建築設計部部長 矢野茂氏 寄稿(構成:編集部 )