219-2moana(尾山台プロジェクト)
物件概要
- 用途
- 共同住宅、総戸数6戸
- 設計
- 小山貴弘/コヤマアトリ
- 竣工年月
- 2018年4月
- 構造
- RC造
- 場所
- 世田谷区
- 規模
- 地下1階、地上3階
SHIN CLUB掲載あり
物件概要
東急大井町線「尾山台」駅から徒歩3分、平坦な道のりで商店街を抜けた閑静な住宅街に、地下1階、地上3階の4層からなる共同住宅(賃貸)を計画した。
建物の構成は、北側の第二種高度斜線へ対応するため、各層のボリュームをずらす操作を基本としている。そのボリュームをなぞるように外部に開かれた印象の共用廊下を配置している。この操作により、各メゾネット住戸は南に面する居室と北に面する居室を有することになる。(写真①)
仕様の決定については、「次の世代に建物を引き継ぐことを考えたい」という発注者の思いを前提に組み立てた。外壁には、EPS(発泡プラスチック断熱材)による外断熱工法を採用し、その上に特製炻器質(せっきしつ)タイルを張り付けている。素朴な表情を持つ炻器質タイルが時間の経過と共に味わいを増していく様子と、次の世代に建物が引き継がれていく性格を重ね合わせている。技術的には、タイルの荷重がEPSに与える応力や施工性について構造的な検討や実験を行い、安全性の確認をメーカー、現場と共に試行錯誤した。
外側で断熱することにより、内側はコンクリート化粧打放しで仕上げている。(写真⑤⑥)このコンクリートが蓄熱体となり、太陽からの熱、冷暖房の熱を蓄え、温度変化の緩やかな内部環境と省エネルギーをもたらしている。また維持管理の面でコンクリートの壁は優位性があり、入居者の入れ替わりへの対応にも配慮されている。 昔からあったような素朴な佇まいが、街の価値を高め、永く愛されていく。その評価は、現段階では難しく、時間の経過と共に感じていく必要があるだろう。
(小山貴弘氏/コヤマアトリエ 談)