180-2日本キリスト教団 生田教会
物件概要
- 用途
- 教会
- 設計
- 西沢立衛建築設計事務所
- 竣工年月
- 2014年9月
- 構造
- S造
- 場所
- 川崎市
- 規模
- 地上2階
物件概要
地域に開かれた教会建築とは
神奈川県生田の住宅地に建つ、プロテスタント教会のプロジェクトである。
この計画は、旧会堂の建替え計画で、要望として礼拝堂のほか、大きな集会室、事務室、牧師室、庭、駐車場用地などが求められた。その後、駐車場の用地を最大限確保したいという要望から諸機能を2階建てに納めることが与件となった。
新しい会堂は、一階に集会室とエントランス、事務室、2階に礼拝堂と牧師室、会議室を持つ。配置としては、かつて庭であった南半分の場所に建つこととなった。その結果、旧会堂が建っていた北側がアプローチと駐車場を兼ねた庭となって、会堂と庭の関係が反転する配置となった。
建物の構成上、集会室と礼拝堂という2つの大空間を積層する必要があり、それらを普通に積むとたいへん大きくなるので、ここでは屋根傾斜をつけて軒高を低くして、また建物全体を柔らかく3つの棟屋に分けてスケールを抑えて、住宅地を圧倒しない佇まいを目指した。分節された3つの棟屋は、その空間規模や室内機能、周囲との関係などから、おのおの違う形となった。たとえば礼拝堂は、聖壇を中心とした対象的切妻勾配屋根の室であり、妻側を東に向けて朝日を取り込むとともに、屋根中央を切り開いて上方から光を取り入れる形とした。エントランスは、道路、庭、室内というアプローチをスムーズなものにするために、エントランス棟屋全体の角度を振って、道路へ正面する形とし、常に開かれうるような大きな引き戸を設けた。集会室は、外と地続きの開かれた空間で、人々の活動や交流が外からも感じられる空間とした。そのようにさまざまなやり方で建築内外の連続感、住宅地との調和を考えた。建物も庭も、これからいろいろな人に使われて教会の活動に合った、開放的で公園のような場所になっていくことを期待している。
(西沢立衛/西沢立衛建築設計事務所)