162-3GLACIEL
物件概要
- 用途
- 店舗
- 設計
- 美和小織/LITTLE
- 建築法規
- 河内崇 由利誠/エイムデザインオフィス
- ディレクション
- 松本真二/アカンプリッシュ
- 構造
- S造
- 竣工年月
- 2013年7月
- 場所
- 渋谷区
- 規模
- 地上2階
SHIN CLUB掲載あり
物件概要
表参道から少し入った住宅街に建つ、アントルメグラッセ(アイスクリームケーキ)の専門店である。欧米ではアイスクリームケーキを通年で楽しむのが普通だが、日本ではまだ専門店はほとんどなく、今回「GLACIEL」が新たな挑戦をこの「表参道」という地で行う。
フランスで修業した江森宏之シェフの「グラス(仏語でアイス)は水と砂糖と空気の結晶」という言葉にイメージを得て、アントルメグラッセの繊細で儚い美しさを引き立て、一方でシェフの職人としての心意気が展開していく、骨太な空間が必要だと感じた。 例えば、1階の厨房はフロア全体の半分を占める。アイスクリームという-30°の食材を扱い、隣の部屋では焼き菓子の製造も行う過酷な仕事場でもある。お客様に厨房の雰囲気がわかる、ほどよい高さにのぞき窓を設け、職人の仕事ぶりを感じていただく。シェフは通路を挟んだショーケースに、出来立てのアントルメグラッセを運ぶ。それはまさにお客様と作り手を結ぶ花道でもある。
外観はそんな工房を意識して、すべてが見通せるオープンなファサードとはせず、切妻屋根の白い壁に小さな小窓を設け、周囲の住宅にも違和感のない形とした。お客様は職人の工房を訪問するように、細い路地を通って中庭に入る。互い違いに配置された3棟の建物は屋外設備を隠し、アプローチに変化を与える。
1階は、新鮮な生グラスなどをお持ち帰りいただくコーナーで、2階にはゆっくりとその場で食べていただくカフェを用意している。質感のある壁や天井に対し、氷や砂糖の結晶が生み出す繊細な美しさや、グラスの素材となる果物や木の実の色彩を装飾表現に取り入れて、アントルメグラッセの味と造形を心ゆくまで楽しんでいただけるようにした。
(美和小織氏 談)