112-2富士見台の家 T 邸(改修工事)
物件概要
- 用途
- 共同住宅
- 設計
- 桑原聡/桑原聡建築研究所
- 構造
- SRC造
- 竣工年月
- 2009年6月
- 場所
- 杉並区
- 規模
- 地上3階
雑誌掲載あり
物件概要
築15年を迎える低層マンションの1室の全面リフォームである。施主は私と同年代のご夫婦。設計依頼は輸入衛生陶器販売会社のウェブサイトを通じて飛び込んだ。 現場はバブル時代のハイグレードマンションであり、子供のいないご夫婦2人住まいということもあり、特にリフォームの必要性を感じるものではなかった。 そのため、今回リフォームするからには現在の暮らしとその後の暮らしが劇的な変化を遂げるものでないと実施する意味がない。 しかし、使い勝手そのものは現在と大きく変わることは許されない。なかなかにマニアな予感のする依頼だけにこちら側も期待に応えるために作戦が必要だった。お二人がこの先、本当に好きなものだけに囲まれて住まうための思い切ったインテリアが強く求められていることだけは明らかだった。 また、終の住処として我々にデザインを託したこのすまいはご夫妻とともに美しく年を重ねていくものでなければならない。そこで、2つの目標を設定した。 1つには収納機能に於いて徹底的につくりこむこと。このつくりこみに於いてはこれまでの使い勝手から逸脱するものがひとつもあってはならない。 次に天然の材料にこだわること。天然の材料故に起こる不揃い、傷、ムラ等はむしろ歓迎することとした。 特に長い廊下のRC壁の表面に取付けたレザーパネルが発する天然革の芳香は、ルートロン調光システムによって制御されるウシオスペックス製のフィルター制御された怪しげな光によって、その存在感を五官で感じ取ることができる重要なインテリアの要素として扱った。