106-2URBANPREM MINAMIAOYAMA
物件概要
- 用途
- 店舗・事務所
- 設計
- 永山祐子/永山祐子建築設計
- 構造
- RC造
- 竣工年月
- 2008年12月
- 場所
- 港区
- 規模
- 地上5階
物件概要
片側4車線の大きなビルが立ち並ぶ青山通りから、 1 本入ると小さな住宅街が広がっている。 この敷地のギャップがまず面白いと思った。 急にスケールダウンしてしまう―これが東京らしさである。
今はまだ、 小さな建物に囲まれているけれども、 すでに近隣では再開発が始まっており、いずれ高層ビルが建つ地域である。 建築主から与えられたワンフロア1テナントという条件で最大限のレンタブル比を満たすとなると、 プランはおのずと決まってしまう。 とすると何をデザインするのかというと、 やはり建物との最初の出会い、 つまり大通りから入ってきて、路地裏のこの建物を最初に見つけたときの、 スケールのギャップをデザインするしかない。
現実には 18mの高さがあるこのビルの大きさを把握できないように、 あいまいな架空性のあるファサードを生み出した。 中央に張り出した曲線により、 下から見上げても建物の周囲が見えない、 上の階がどこまでも続いているかわからない。 初めて訪れる人は、 一瞬不思議な感覚に陥るだろう。
それに加えて、 日本では道路斜線という法規があって、 前面道路に日照を確保する配慮が求められている。 この建物の前面道路はもともと 2.6mしかなく、 おまけに袋小路のため、暗くさびしいたまりになってしまう。が、建物上部が反り返ったこの形だと、圧迫感がなく、グラデーションで光を落としてくるので、終日明るさを保つことができる。 根本に立ち返って、法規的なことをデザインしてみると、 理にかなっているという新たな発見があった。
開口部のあけ方もスケールを読む拠り所となるので、 各層に 2 段の窓を入れ、 いろいろなサイズにして、 各層でその比率も変えている。 すぐには階数を把握できないようにして、ビル全体で大きなパターンになるように配置している。 逆に建物内部からの景色は、 大通りに面した建物の裏手になるため、 期待できない。 むしろ外側の景色が、 不規則な窓を通して細切れの光のパターンとして分解されて入ってくることで、 再構成された景色が楽しめるのではないか、 と思っている。