105-2さやの湯処 岩盤浴コーナーとお休み処
物件概要
- 用途
- 浴場
- 設計
- 玉岡設計
- 意匠設計
- 降幡建築設計事務所
- 共同施工
- ジェイエス
- 構造
- S造
- 竣工年月
- 2008年12月
- 場所
- 板橋区
- 規模
- 地上2階
物件概要
入浴棟の 2 階に新設した岩盤浴コーナーでは、 四季のイメージを持たせた 4 種類のスペースを用意している。 『春』 は 28℃の室温、 畳にマット敷きのお休み処。 以前は女性専用の休み処だったが、 面積を広げ、 岩盤浴着を着れば男女関係なく一緒にくつろぐことができるスペースになった。 大きな窓からは、 庭の緑や瓦屋根が眺められる。 室内は、開放感あふれる高い天井、 そして壁には源氏ぶすま、 床の間には絞りの丸柱、エアコンを隠す簾戸など、以前の建物の材を取り込んだ 「和」 の趣でまとめている。 『夏』 は 50℃に設定した岩盤浴コーナー。 ゲルマニウム、 不老石などの岩盤を加熱して利用する。 岩盤から放出される遠赤外線やマイナスイオンが新陳代謝を活発にし、 老廃物を排出する。 『秋』 や薬宝玉石などを敷き詰めた岩盤浴コーナー。 設定温度は 42℃~ 45℃。穏やかな疲労回復効果を持つ。 『冬』 は身体を冷やす、 アイシングコーナーとなっている。 温泉の設備設計は、 これまでも 100 件以上温泉施設を手がけた 「玉岡設計」、温泉施設では代表的な会社である。 通常施設全体の設計を行うが、 今回オーナーはさらに他施設との差別化を図るべく、 最初の邸宅の再生計画を行った我々に、主に休み処を中心としたトータルデザインを求められた。 当初全面ガラスだった 『春』 のロビー側の壁面は、壁にして無双格子をあしらい、天井から 2 段を透明ガラスとしてロビーとの連続性を残し、 その下は利用者の気配がそれとなく感じられる程度のすりガラスとした。 その下のロビーに隣接する 1 階部分はマッサージコーナーだったが、 利用者に和庭をより楽しんでいただけるよう、休み処を増設し、 奥の方は女性専用スペースとして衝立を固定したが、 家族の待ち合わせやカップルの利用も念頭に置いた、 基本的にオープンなスペースである。 食事処の 『柿天舎』 との連動を意識するとやはり和の趣がふさわしい。 建物内部には、 そこここに建て主の以前の邸宅の痕跡が見受けられるが、 利用 者がその歴史を感じながら、 知らず知らず癒されていくのではないかと考えている。(田中良孝氏/降幡建築設計事務所 談)
邸宅の再生工事を請け負ったご縁で、 今回の岩盤浴棟の工事も行うことになり、 辰カンパニーと共同で施工を手がけることになった。 これまで通常の建物の施工管理のほか、 スイミングクラブ、 銭湯、 フィットネスクラブ、 温浴施設、 と水関係の工事の現場管理、 実施図面作成作業を数多く行ってきた。 岩盤浴など隠蔽した設備を入れる場合はまず、 湿度、 温度変化に耐えられるしっかりとした空間作りが求められる。 「さやの湯処」 のような独立した建物ならともかく、 既存の建物の内部に施設を設ける場合は、 よほど気密性を持った建物でなければ難しい。 鉄骨造などは非常に難しい構造体である。 設備の寿命などを見据え、 事業主によっては、 短期決戦で資金回収を済ませ、 3 年から 5 年で撤退するところもあるくらいだ。 今回の岩盤浴コーナーの工事では、 オーナーはもともとオープン時に導入を予定されていたが、 十二分な市場調査とご自身の経験を元に、 3 年経って工事を指示されている。 人任せにせずに設備についてもご自身で納得のいくまで確認を取られて、 工事に望まれていた。(大山茂氏/ジェイエス 代表取締役 談)