087-1赤尾耳鼻咽喉科医院
物件概要
- 用途
- 医院併用住宅
- 設計
- 綱川建築事務所
- 構造
- RC造
- 竣工年月
- 2007年6月
- 場所
- 神奈川県鎌倉市
- 規模
- 地上2階
雑誌掲載あり
物件概要
築70年の洋館で開業されている医院の新築工事である。
既存建物に付随する庭の部分を建物の敷地としたため、営業に支障なく工程を組むことができ、余裕のある計画であった。
鎌倉市の条例により、建物の基礎を作るために地面を深く掘るようであれば、遺跡発掘調査が要求される場合がある。経済的、工期的な選択により、今回は、予備調査で90cmにしていた基礎の深さを30cmあげ、地面を深く掘らないで済む「フローティング基礎」を採用した。
外観はタイルとコンクリート打ち放し、ガラスブロックを組み合わせた、すっきりとしたデザインである。正面に医院入口、住居部分は向かって左が入口となっている。高齢者の患者が多く、オープンな駐車スペースを前面に用意し、車椅子で来院する患者のために、入口右側にスロープを設けている。
やはり鎌倉は海沿いの町である。入口は防風・防塵対策として、二重ドアにしている。セキュリティ対策として、内側扉の外側にシャッターを下ろすようにしている。また待合室の開口部には窓ではなく、乳白色のガラスブロックを使い、採光と視線の遮断、そして防犯の効果を持たせている。幼児用のカーペット敷きのコーナーやDVD用のモニターを設置、待ち時間の患者への精神的負担軽減も図られている。
室内は、これまでの建物が昔の洋館でありながら2700ミリという高い天井高であったため、引き続き建て主の要望で、診療室、住居部分とも天井の高いゆとりの空間を創出している。 母上のスペースに続く廊下には手すりを付けたり、洋館で使われていた建具を利用したり、と細かい心遣いが見られる。
広々とした屋上から鎌倉の三方の山を望むことができ、海風が心地よい。
(綱川建築事務所 談)