080-1小池精米店
物件概要
- 用途
- 店舗+住宅
- 設計
- 上松佑二
- 構造
- RC造
- 竣工年月
- 2006年11月
- 場所
- 渋谷区
- 規模
- 地上4階
雑誌掲載あり
物件概要
お米屋さんの店舗併用住宅である。
計画は3年がかりであった。まず高さ3m20cmの精米機をどう収めるかという条件があった。道路斜線による高さ制限もあり、また予算の関係で地下を取りやめ、1階の店舗奥精米所のレベルを下げることで解決した。 1階の北側半分と2階は貸店舗となっている。RC壁構造で室内は柱のない広々とした空間とし、開口部も大きく取って、角地の利点を生かすこととした。3、4階は、息子さん世帯とご主人の世帯の2所帯住宅である。居住部分にはルーバー状の手摺を設け、テラス部分の足元を広くして開口部を奥に収め、プライバシーにも配慮する形をとった。容積率いっぱいだが、屋上に芝生を敷き、1階の車寄せ部分にグリーンを植えるなどして緑化も心がけた。
建物の躯体は、木摺型枠を用いたコンクリート打ち放しとしたが、地の灰色では建物が暗くなるので色彩を施すことにした。ヨーロッパでは多少見られるが、日本ではコンクリートの外壁全体に色をつけるのは初めてではないだろうか。
基調は「隠田の水田」をイメージした緑である。壁は白緑(びゃくろく)、一斤染(いっこんぞめ)、浅緑(あさみどり)など。屋根は胡桃色(くるみいろ)、隠田の水車の水の色は薄浅葱(うすあさぎ)や白群(びゃくぐん)、水車は蒸栗色(むしくりいろ)など、日本古来の淡い色にこだわっている。
建物の四方の足元には、目立たぬよう春夏秋冬を表した稲の小さなレリーフがある。フィレンツェのオー・サン・ミケーレ(13世紀のゴシック建築の教会。穀物店を礼拝堂として再活用した建築)で目にした麦穂のレリーフに着想を得ている。
最先端のファッションの街原宿で、和の趣を生かした魅力ある建物として、街の人々に愛されることを願うものである。
(上松佑二 談)