076-2オーセンティックビル
物件概要
- 用途
- ショールーム+事務所+フリースペース
- 設計
- 石川倬/石川設計工房
- 構造
- RC造
- 竣工年月
- 2006年5月
- 場所
- 渋谷区
- 規模
- 地上3階
物件概要
建物が建つのは、共同住宅や事務所ビルが混在している地域である。
建物の素材として、コンクリートの打ち放しや木、石など、自然そのままのテクスチャーを生かすことを私は好んでいる。例えば街並みとしてレンガの建物が 1km 続くのも良し、漆喰の建物が 1km 続くのも良し、とする。
しかし、いくら好きなコンクリートでも打ち放しの壁が 1km 続いたとしたら、無機質な街並みにならざるを得ない。そのため、私の希望で、打ち放しのコンクリート造には、石や木を取り入れることを建て主に勧めている。
北側のアルミのルーバーは、向い側の共同住宅の南側に面しているため、互いのプライバシーとデザインを考えて採用したものである。外壁はコンクリート打ち放し+自然石(割り肌)+アルミルーバーで構成している。
1 階は打ち合わせに使う来客用のフロアで、外部からも中がよく見える開放的なスペースだ。ショーウィンドウのように、商品を見せるコーナーもしつらえている。2 階に事務所、3 階にフリースペースを置いている。内装は、コンクリート打ち放しの壁の部分とジョリパットの白い壁の部分、カバのフローリングや石貼りなど、用途によって少しずつ変化をつけている。
ところで、この建築を建て替えるにあたって解体した以前の建物は、宮脇檀氏の設計によるものであった。(デザイン事務所兼住宅 :築約 40 年)
古い建物ではあったが、コンクリートに一部レンガタイルを施した、味わいのあるビルであった。宮脇さんといえば、建築学会賞も受賞され、建築設計だけでなく、エッセイなどの執筆でもその名を知られた建築家の 1 人である。62 歳という若さでガンで亡くなったが、私も宮脇氏に敬意を表し、ほどよい緊張感を持って設計させていただいたことを追記する。
(石川倬氏 談)