073-2Moderna(モデルナ TS集合住宅)
物件概要
- 用途
- 共同住宅
- 設計
- 渡辺真理+木下庸子/設計組織ADH
- 構造
- オーク構造設計
- 設備
- 環境エンジニアリング
- 構造
- RC造
- 竣工年月
- 2006年3月
- 場所
- 港区
- 規模
- 地上6階 地下1階
物件概要
白金に立つ賃貸住戸+オーナー宅あわせて19戸の集合住宅。賃貸部分は、ワイドフロントステージ型スタジオタイプ、吹抜を持つL型デュープレックスタイプ、奥行きを大きく取ったフラットタイプなどのバリエーションをもつプランである。
もともと板金工場を営んでいた先代から引き継いだ土地に、賃貸集合住宅を建てるという夢を長年持っていたオーナーは、ご自身がエンジニアである関係で、躯体だけでなく、設備についても研究を重ねられていた。そのため設計者側としては、意匠だけでなく、建物としての性能にも提案を行なった。その結果、外断熱工法や蓄熱効果を利用した温熱設備を実現させることになった。
建物の断熱に関しては、南側と東側の外壁にはアウサレーション式外断熱工法を採用し、北側と西側の外壁には、RC+断熱材+金属板(サビナシルーフ)による外断熱工法を採用している。ボリューム的な威圧感が発生しないよう、隣家側にはより配慮して、白いドライビットで仕上げ、ほとんど開口部がない方向は対比的に金属板仕上げとした。
また、近隣は住戸の密集した地域のため、隣地との境界にはアルミの目隠し(5m)を立てたり、サッシ面に外付けブラインド(シェードスクリーン)を設けて、お互いのプライバシーに配慮した計画になっている。 住戸のプランニングではオーナー夫妻と何度も打ち合わせを行なった。各ユニットとも生活のしやすさには配慮している。例えば、玄関からウォークインクローゼットを通るルートを持つ住戸や、キッチンを経由する回遊動線を持つ住戸など女性的な視点も反映されている。共用部分である廊下も普通より広めである。駅から自転車を利用する人が、ハイスペックの自転車を自分の住戸までエレベーターで持って上がり、自宅の入口廻りに置いておくことも想定してみた。
この場所は白金という都心にあり、3階以上は、東京タワーが東側に見える。東側からの眺望と採光には配慮した。北西側には首都高速2号線が走っているため、上階から首都高速を見下ろす光景もまた、都会的で新鮮な景色である。
共用部分はというと、1階には玄関脇にギャラリーなどを設けた。将来的には若いアーティストやデザイナーのためのギャラリーに使ってもらうことも視野に入れている。
この建物の建設にあたっては、近隣住民への説明会が何度も求められたが、辰にはアスベスト含有プレートの除去工事を全て機械作業を用いず実施するなど慎重な対応をしていただけたので、大きなトラブルもなく、就工できたことには大変感謝している。
(渡辺真理氏+木下庸子氏 談)