054-2Estudio(AZ)
物件概要
- 用途
- 共同住宅
- 設計
- 佐藤尚巳建築研究所
- 構造設計
- ローファットストラクチャー
- 設備設計
- 知久設備計画研究所
- 構造
- RC造、薄肉ラーメン構造
- 竣工年月
- 2004年8月
- 場所
- 中野区
- 規模
- 地上7階
雑誌掲載あり
物件概要
敷地は、交通量の多い中野区大久保通りに面した、巾18m、奥行き10mの東西に細長い形をしている。北側接道で、南側には中層のマンションが隣接しており、日照が十分には期待できないため、ファミリータイプではなく、単身者かDINKS向けで、デザインにもこだわりがある層を対象とした計画とした。
RC壁で東西に分節された30㎡内外の空間を1つのユニットとして、3ユニットで階を構成している。最上階は2ユニットを連結させたペントハウスとし、また2ユニットを上下に連続させたメゾネットも3室設けて、6層で計14戸の集合住宅としている。1階にはエントランス、駐車場、駐輪場、ごみ置場などをゆったりと配置している。
南側に個室を置き、北側に共用廊下を持ってくるのが日本のマンションの常識であるが、北側接道の場合見苦しい共用廊下が街路に面することになり景観を害してしまう。欧米では「街路」は都市の中の限られたパブリックスペースとして大切にされ、街路に対して背を向けて建築を構成することはありえない。しかし、日本では風土からくる日照第一の考えと、個人の権利意識が強く、公共空間を大切にする意識は希薄である。
日頃から「北側廊下が日本の都市景観を害している」と感じていたので、この計画では共用廊下は環境条件の悪い南側に置き、窓先空地などという窮余の措置を労せずとも採光と避難安全性が得られる開放的な街路側に個室を置くことで街路のファサードを構成し、同時に敷地の有効活用を図った。ファサードは840mm幅をモジュールとして明快な構成とし、建築が自己主張するのではなく、都市空間の良質なインフラとなるように心がけた。
(佐藤尚巳氏 談)