052-2新川のローコスト堅牢住宅(T デンタルクリニック)
物件概要
- 用途
- 歯科診療所+専用住宅
- 設計
- 白濱 力:Graphis Associates Inc.+高岡建築設計事務所
- 構造設計
- 構造計画プラスワン
- 企画/家具担当
- 佐々木里実
- 構造
- RC造
- 竣工年月
- 2004年6月
- 場所
- 中央区
- 規模
- 地上3階
雑誌掲載あり
物件概要
東京駅八重洲口からまっすぐ八丁堀方面へ歩くこと約20分。27坪程の好立地な狭小地にこの建物は建つ。区による地区協定で、50センチの壁面後退により高さ緩和を有効に活用した建物である。当初の計画では階高を大きくとり、4層吹き抜けの伸びやかなファサードをもったデザインであった。しかし、地盤の地耐力への構造対応や、診療施設の設備費用、金融機関との諸事情も絡まり、終始、施主の夢であったコンクリート打ち放しの建物をつくることと、実際の建築をリアライズすることの戦いであった。設計スタッフをはじめ、工事関係者の実現へ向けての意地と情熱で最良の完成型を目指し、構想段階からは4階部分を取りやめるなど大幅に変更したが、設計者、施主共々も、すばらしい出来だと満足している。
設備と内装を極限まで整理したことで、むしろそれを意図したように精緻でミニマムな空間となり、これからこの建物の中で営まわれる生活者のスタイルを知的に誘導するパワーを感じさせる。
北側の外部螺旋階段を吹き抜けとした超ローコストな「光に内包される家」は、1~2階に歯科診療室を有し、3階を居住空間としている。現代の堅牢で小さな建物は、その構造体の迫力と精巧な仕上感により、かくして「新川の大豪邸」と近所で囁かれているらしい。
(白濱 力 談)